我が家のヘボ追いのやり方

ヘボ追いとは

“ヘボ”とはクロスズメバチのこと。

尾張・三河・東濃・信州に広がる里山の秋のごちそうです。

「ヘボ追い」とは?

毎年我が家では、6月中頃、父がヘボ追いをしに牛舎の奥の山に出かけます。

ヘボ追いとは、野生のヘボの巣を収穫するために行う方法のことです。
幼虫のためにエサを巣に持ち帰るヘボの特性を利用し、目印のついたエサを与え、ヘボを追いかけ巣をつきとめます。

父のヘボ追いの方法

山の中でお肉を吊るしてジッと待っていると、ヘボが来ます。
ヘボがお肉を持ち帰るために口でちぎっている最中、
そっとヘボの体にティッシュをくくりつけます。
お肉に夢中なヘボは、襲ってきません。

ヘボがお肉から飛び立つと、追いかけっこのスタート!
巣に帰るヘボを追いかけて、山越え、谷越え、川越え、、、
ティッシュを頼りにひたすら追います。

足元を気にしていたら、見失ってしまうので、
目線はずっと空中のヘボ。
道なき道を行く、ヘボ追いは命がけですね。

そんなこんなで、ヘボの巣に辿り着く。
ヘボの巣は、家の軒先でよく見るキイロスズメバチの巣とは異なり、
土の中にあります。

さて、ここからが真っ向勝負。
花火みたいな煙がいっぱい出る煙幕に火をつけ、
巣の中に入れます。

煙に驚いた働きバチが外に逃げだしますが、
それも袋で待ち構えキャッチ。

煙で殺しているのではなく、気絶させるそう。
働きバチが弱まってきたころ、
巣の周りを優しく掘り、崩さす丁寧に収穫。
この時も巣だけではなく、働きバチたちも一緒に連れて帰ります。

収穫後

さて帰宅し、美味しくいただきましょう!とは、まだまだならないんですね。
ここから育てるんです。

父は、お手製の木の箱を用意し、その中に巣を設置。
働きバチたちも逃がし、ここでせっせと子育てをしてもらいます。
働きバチたちも一緒に連れてきたのは、このためですね。

父は、毎日気が付けば、ヘボの前で椅子に座りじっと眺めています。
巣の前に餌となるお肉をぶら下げ、砂糖水を置き、敵のオオスズメバチが来ればすぐに処理。
愛情いっぱいです。
ヘボ追いは「遊び仕事※」 の代表的なものともいえます。
※ 「自然との密接で直接的な関係がある、
経済的意味に還元できないような誇りや喜びが得られる、
身体性をもつ、遊びの要素が強い」といった特徴がある
↑まさに父!笑
(「地域社会の暮らしから多生物多様性をはかる」鷲谷いづみ・鬼頭秀一編,東京大学出版会2007)

収穫は10月中頃。

また収穫方法、ヘボのレシピを聞いて来ようと思います!